今回は、森岡 毅さんの著書『苦しかったときの話をしようか』の読書メモを残します。
就職活動、転職活動、人生に悩む人に読んでいただきたい1冊です。
- 働くことの本質
- 自分の強みの見つけ方
- 自己ブランドの設計方法
自分の娘に向けて語られた「働くことの本質」
今回ご紹介するのは、森岡 毅さんの著書『苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』。
森岡さんといえば、USJを再建させた立役者としてご存知の人も多いはず。
その敏腕マーケッターの視点で、この本では「働くことの本質」を就職活動を直前に控えたご自分の娘さんに向けて語られていています。
森岡 毅(もりおか・つよし)さん
株式会社 刀の代表取締役CEO。
- 1996年、P&Gに入社
日本ウィダルサスーン、北米パンテーンのブランドマネジャー、ウェラジャパン副代表などを歴任 - 2010年、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に入社
革新的なアイデアを次々投入し、窮地にあったUSJをV字回復させる - 2017年、マーケティング精鋭集団「株式会社 刀」を設立
- USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?(KADOKAWA/角川書店 2014/2/26)Amazon
- USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門(KADOKAWA/角川書店 2016/4/23)Amazon
- 確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力(KADOKAWA/角川書店 2016/6/2)Amazon
- マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド(日経BP 2018/5/24)Amazon
- 苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」(ダイヤモンド社 2019/4/11)Amazon
「この世界は残酷。しかしそれでも君は確かに選べる!」
それでは、本書に書かれていることを章ごとにご紹介していきます。
はじめに 残酷な世界の“希望”とは何か?
第1章 やりたいことがわからなくて悩む君へ
第2章 学校では教えてくれない世界の秘密
第3章 自分の強みをどう知るか
第4章 自分をマーケティングせよ!
第5章 苦しかったときの話をしようか
第6章 自分の「弱さ」とどう向き合うのか?
おわりに あなたはもっと高く飛べる!
第1章 やりたいことがわからなくて悩む君へ
「やりたいことがない、わからない…」と悩む人は多いですよね。
就職活動中の人はもちろんのこと、すでに社会に出て働いている人も「これでいいのかな…」と自身のキャリアを迷っている人います。
その迷いは、数多ある職種の仕事内容がわかれば、もしくは体験すればなくなるのでしょうか?
森岡さんは、「問題は外側ではなく、自分の内側にある」といいます。
やりたいことが見つからないのは、自分の中に「軸」がないからだ。
自分の外側にある「何か」がわからないのではなく、「自分のこと」がわかっていない。
基準となる軸がないのであれば、やりたいことが見つかるわけもなく、選べるわけもないんですよね。
これはSHOWROOMの前田さんも『メモの魔力』でおっしゃっていました。
まずは自分を理解するところからはじめていきましょう。
- やりたいことがわからないのはなぜか?
- 「経験がないのに考えても仕方ない」は間違い!
- 君の宝物は何だろう?
- 会社と結婚するな、職能と結婚せよ
- 大丈夫、不正解以外はみんな正解!
第2章 学校では教えてくれない世界の秘密
学校では教えてくれない大切なことが書かれていました。
そもそも人間は平等ではない。資本主義とは何か?
人間は、みんな違って、極めて不平等
資本主義の本質は、「人間の欲」。
資本主義社会は、サラリーマンを働かせて資本家が儲ける構造になっていて、無知であることと、愚かであることに、罰金を科す社会。
資本主義の本質を捉えることは、キャリアを考える上でとても重要だと感じます。
年収を決める法則
人の年収は、その人が職業を決めた段階でほぼ決まる。
その選択が未来に及ぼす影響をしっかりと考えてから決めるべきだと森岡さんはいいます。
- 職業の価値
- 業界の構造
- 成功度合いによる違い
(その人がどれだけ重要で代替不可能な能力を有しているか)
自分の軸が決まったら、叶えたい未来を想像しながら業界・職種選びなどをしてみると良さそうです。
- そもそも人間は平等ではない
- 資本主義とは何か?
- 君の年収を決める法則
- 持たない人が、持てるようになるには?
- 会社の将来を見極めるコツ
第3章 自分の強みをどう知るか
進路を決めるとき、就職活動をするときなどの人生の転換期には、必ず考えることがありますよね。
- 自分ってどんな人間なんだろう
- 何がしたくて、何ができるんだろう
- どんな未来を期待したいのか
いわゆる自己分析ですね。
私もすごく苦手ですが、森岡さんがヒントをくれます。
目的は「仮説」でもいいから立てよう
具体的な「こと」から発想するのではなく、「どんな状態」であればハッピーだろうかという未来の理想「状態」から発想すること
キャリアを考える上で、これはすごく大事な視点だと思います。
「何がしたいのか」ではなく、「どうであれば幸せなのか」。
人生の目標を決めて、それを実現するためにどのようなロードマップが必要なのか考えていきましょう。
(=理想の状態から考える発想法)
もし確固たるものがなくても大丈夫。
納得性と一貫性があれば目的は「仮説」でもいいのです。
強みを見つける方法
君の強みは必ず好きなことの中にある。
自分の強みを理解するために、森岡さんは今まで自分が好きだった「〜すること」を書き出すことを勧めています。
ポストイットなどを活用し、これまでの経験を振り返っていきましょう。
それを3つに分類し集約して、自分の傾向を掴みます。
- 考える力・戦略性が強み
- 趣味:知的好奇心が満たされるもの。読書、プログラミング、戦略系ゲーム など
- 傾向:暇になると無意識に課題を設定して頭を使って遊んでいる。何らかの課題に対して自分の思考力で問題解決するときの「知的好奇心」と達成感を満足させて走るタイプ
ファイナンス、コンサル、研究職、マーケティング など
- 知的好奇心をガソリンにして考える力を磨き、より大きな結果を出す、その好循環でキャリアを作っていくのが基本戦略
- 自分が考えて突き詰めつ対象に、「興味が持てる領域」を選ぶことが何より重要
- 伝える力・人と繋がる力が強み
- 趣味:人脈作り など
- 傾向:総じてコミュニケーション能力を社交性が高い。人に好かれる才能に秀でている。
プロデュース業、営業、PR、企画 など
- 強い対人コミュニケーションを武器に使い、人と人を繋げることで当たらな価値を生み出していく職能において秀でていくのが基本戦略
- 伝える能力に特徴を持っている人が多い
- 変化を起こす力・人を動かす力が強み
- 趣味:達成感を味わうためにストイックで凝ってしまう
- 傾向 :とくかく挑戦すること、達成することが大好き。自分の見える世界にいい変化が起こることを生きがいにしている
管理職、マネジメント職、プロジェクトマネージャー など
- 高い目的意識で自分が起点となって周囲を動かし、組織に高いパフォーマンスを発揮させる能力を武器にキャリアを切り拓いていくのが基本戦略
- 人に結果を出させる強みに長けている人が多い(人を使う能力に長ける特徴)
「失敗しないキャリア」のために、自分の特徴や傾向を理解したいですね。
- まずは「目的」を決めよう
- 君の強みをどうやって見つけるのか?
- ナスは立派なナスビになろう!
第4章 自分をマーケティングせよ!
自分自身を1つのブランドだと考え、あらかじめあらゆることを設計しておくことがポイント。
- ブランドが参入するドメイン(活動領域)を決める
- 【WHO】ターゲットを決める(誰に買ってもらうのか?)
- 【WHAT】ブランドの価値、売りを決める(何を買ってもらうのか?)
- 【HOW】WHATを具体的するスタイルを決める(ブランドを定義する形容詞)
そのブランド像に沿って日々行動を積み重ねて行くことで、「My brand」が確立してくという。
ただ理想を掲げているだけであったり、本来の特徴とベクトルが違えば、そのブランド力は弱くなってしまうのです。
- WHOの欲しい人物像であるか?
- 人間性を裏付けられているか?
- ほかと差別化ができているか?
- 自分の本質と一致しているか?
巷には「伝え方が大切!」という内容の書籍が並んでいるけど、面接などでフォーカスすべきはあなたという人間の価値をより理解してもらうための中身の準備です。
君がまず躍起になるべきは、ブランド構築する一貫した行動と、結果を出すことにこだわること
- 面接で緊張しなくなる魔法
- 「My Brand」を設計する4つのポイント
- キャリアとは、自分をマーケティングする旅である
第5章 苦しかったときの話をしようか
「人がもっとも苦しいと感じるとき」とは、どのようなときでしょうか?
森岡さんはこのように説かれています。
自分自身で自分の存在価値を疑う状況に追い込まれたとき
この章には、若くして大企業の本社で主力ブランドのブランドマネージャーを任され、周囲からの圧力や理不尽に悩み自身の力不足に苦しみながらも、自分だけの「強み」を活かして立ち向かう森岡さんの姿があります。
印象に残った言葉はこちら。
強い人間は、環境に合わせて自分を変えるか、自分に合わせて環境を変えるか、どちらかができる。
- 劣等感に襲われるとき
- 自分が信じられないものを、人に信じさせるとき
- 無価値だと追いつめられるとき
第6章 自分の「弱さ」とどう向き合うのか?
綿密に立てた戦略であっても思い通りにいかないことの方が多いが、「戦略あるキャリア」の方が「戦略なきキャリア」よりも高く飛べると森岡さんはいいます。
「不安」と向き合うには?
不安なのは君が挑戦してる証拠だ。
不安はあって当然だし、その不安を燃料にしてどんどん強くなっていきたい。
「弱点」と向き合うには?
人には誰でも「弱点」があるけど、それらはどう乗り越えるべきか?
人が弱点を克服できるのも、すべきなのも、その人の強みとなる特徴の周辺領域だけ
弱点はすべて克服しないといけないと思っていた節があるので、この言葉には救われました。
弱点克服に時間を割くのではなく、強みをさらに伸ばしていけたらいいですね。
行動を変えたいときのコツ
「変わりたい」と願ってもなかなかモチベーションが続かないことありますよね。
そのわけは、「変わろう」と覚悟したときと実際の変化までのタイムラグに耐えられないからだと森岡さんはいいます。
変わりたいときにうまく変われるコツは、
最初からすぐに変われないことを覚悟して、時間がかかることを織り込んで、変わる努力を継続することだ。
行動の変化には時間がかかることを意識していきたいですね。
- 「不安」と向き合うには?
- 「弱点」と向き合うには?
- 行動を変えたいときのコツ
- 未来の君へ
まとめ:就職活動、転職活動、人生に悩むあなたに読んでほしい
森岡さんの書籍を手に取ったのは、この『苦しかったときの話をしようか』がはじめてでした。
第1章・・・自己理解の大切さ
第2章・・・世の中のこと
第3章・・・好きなこと・得意なことの見つけ方
第4章・・・「My brand」の設計方法
第5章・・・苦しかったときの話
第6章・・・自分の「弱さ」との向き合い方
たくさんの気づきがあり、自身のキャリア設計にも大きく影響する1冊となったと思います。